2024年4月26日
三益半導体を完全子会社化 7月めどTOB開始 信越化学工業 ▪上毛新聞(2024/04/26)より
安中市に生産拠点を置く半導体材料の国内最大手、信越化学工業(東京都千代田区、斉藤恭彦社長)は25日、関連会社の三益半導体工業(高崎市保渡田町、八高達郎社長)の完全子会社化に向け、株式公開買い付け(TOB)を始めると発表した。買い付け価格は1株3700円。7月下旬をめどにTOBの開始を目指す。成立後、同社は上場廃止となる予定。
同社は1969年設立。半導体基板材料のシリコンウエハーの加工や関連装置などを手がける。需要拡大が見込まれる半導体事業に対し、信越化学工業は強固な協力体制の必要性があると判断。技術や人的交流を活発化させ、相乗効果を狙う。
三益半導体工業は、技術開発や海外企業との競争激化に対応し、企業価値を高めるために同意した。同社の株式は現在、信越化学工業が42・75%保有している。2023年5月期単体決算は、売上高が909億3600万円、純利益が76億1800万円。純利益は14期連続で過去最高を更新している。従業員は約1100人。TOB後の組織体制は現状をほぼ維持する見込み。
信越化学工業が同日発表した24年3月期連結決算は、売上高が前期比14・0%減の2兆4149億3700万円、純利益が26・6%減の5201億4千万円で減収減益となったが、過去最高だった前期に次ぐ好業績だった。
中国経済の不振が影響し、主力の生活環境基盤材料事業は、塩化ビニールの事業環境が厳しく前期比22・8%減。シリコンウエハーの長期契約に基づいた販売やスマートフォン、データセンターといった先端半導体の材料として欠かせないフォトレジストなどの半導体露光材料が計画通りに出荷し、マイナス幅を抑えた。
営業利益は29・8%減の7010億3800万円、経常利益は22・8%減の7872億2800万円でともに前期に次ぐ利益を確保した。
25年3月期予想は、合理的な算定が困難として公表を見送った。