2024年6月7日
《インタビュー》「調剤」全店併設目指す 食品強化、利便性を高く ▪上毛新聞(2024/06/07)より
クスリのマルエ 鈴木暁子社長(55)
ドラッグストア「マルエドラッグ」を展開するクスリのマルエ(前橋市樋越町)の社長に就任した鈴木暁子氏(55)は、同社の創業家以外と女性では初めてとなった。消費者は食料品や日用品をそろえるドラッグストアに日常的に買い物に訪れ、県内では競合店が群雄割拠する。鈴木氏は「『医療の一歩目』となる調剤薬局の全店併設や食品強化」を掲げる。
―入社から20年以上、薬剤師として調剤部門で経験を積んだ。社長就任の抱負を。
病院勤務などを経て入社し、調剤薬局の立ち上げ時から関わった。正しく処方できる知識と専門性のある管理薬剤師が増え、調剤や商品選びで来店客の健康に寄り添えるのがマルエの強みだ。カウンセリングや商品展開を含めて、県民に親しまれる地元のドラッグストアを目指す。
―食料品や生活用品の購入にドラッグストアを利用する県民は多い。
来店頻度や利便性を高めるため、食料品の販売を強化する。ワンストップの買い物が好まれる傾向にあり、主力の医薬品や化粧品との相乗効果につなげたい。売り上げや地域性を考慮し、店舗の大型化も検討する。高崎市の高崎小八木店は昨年、売り場面積を約1・5倍の900平方メートルにリニューアルした。健康管理に役立てられる付加価値のある商品展開にも力を入れたい。
―競合他社の県内進出が相次いでいる。出店計画や戦略は。
競合店の出店攻勢には危機感を持っている。現在の54店舗の老朽化や収益性を見てスクラップ・アンド・ビルドを進め、60店舗を目安に出店を計画する。このうち他店にリードする調剤薬局併設店は33店舗まで伸びた。今後年5店ペースで増設し、全店併設を目指す。経験がある薬剤師を確保し、「医療の一歩目」となる調剤薬局を整えたい。
―親会社で業界最大手、ウエルシアホールディングスとの連携は。
プライベートブランド(PB)商品の展開や流通の共同化などで商品価格を抑えられる。システムやポイント付与などのサービスを共通化し、顧客の相互利用を促進する。グループのスケールメリットも生かしたい。
―前橋市中心街の複合施設「前橋プラザ元気21」の地下1階に出店した。地域からの要望をどう受け止める。
住民の医療と食品のインフラの役割を担う地域貢献の一心だ。買い物ができず困っている声に応え、食料品の売り場を強化した。販売戦略の効果検証にもなる。複合施設にはお年寄りや大学生など幅広い層が集まる。健康イベントなどの交流機会を増やして、新たな人の流れをつくりたい。
【略歴】
すずき・あきこ 前橋市出身。共愛学園高―新潟薬科大卒。2002年入社。取締役兼調剤統括本部長などを経て、5月17日から現職。