2024年10月9日
天体から地球守る技術確認 欧州探査機に明星電気(伊勢崎)のカメラ▪上毛新聞(2024/10/9)より
欧州宇宙機関(ESA)は7日夜、地球に衝突しそうな天体の軌道をずらして地球を守るプラネタリーディフェンス(惑星防衛)の技術実証で、探査機Hera(ヘラ)を米国から打ち上げた。明星電気(伊勢崎市長沼町、夏明正伸社長)が開発した赤外線カメラを搭載。米航空宇宙局(NASA)が2022年に史上初めて探査機を衝突させて軌道を変えた小惑星を観測し、効果を確認する。
行き先は小惑星ディディモスと衛星ディモルフォスで、26年12月ごろに到着予定。一方が他方の周りを公転する二重小惑星の探査は初で、ディモルフォスは探査対象の天体では史上最も小さい。
NASAは22年、地球から約1100万キロ離れた直径約160メートルのディモルフォスに探査機DART(ダート)を突入させた。直径約760~780メートルのディディモスの周りを約12時間で1周していたが、衝突後は周期が約32分短くなっていた。今回の探査で質量や組成を明らかにして衝突の影響を調べ、天体の軌道修正技術に生かす。
探査機ヘラは、本体が1・6メートルの立方体型で、太陽光パネルを開いた幅は11・5メートル。搭載する赤外線カメラは、小惑星りゅうぐうから砂や石を持ち帰った日本の探査機「はやぶさ2」に使ったカメラの後継機。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の岡田達明チーム長は「はやぶさ2の観測と合わせて多くの小惑星のデータを集め、惑星科学的な研究にも貢献できる」と期待を示した。
明星電気の担当者は自社のカメラが採用されたことを喜びつつ、「実際に使用されるまでには期間があるので、緊張感を持って推移を注視する」と気を引き締めた。