2025年4月18日
点検管理、リフォーム、売却、活用相談…空き家事業を本格化 ヤマダHD・上毛新聞(2025/4/17)より

家電量販店最大手のヤマダホールディングス(HD、高崎市栄町、上野善紀社長)は、空き家関連事業を強化する。傘下のグループ会社が一体となって展開する「くらしまるごと」戦略の一環。グループ内に蓄積した住宅関連事業のノウハウを最大限に活用し、建物の点検や管理、リフォーム、解体などの要望に幅広く対応する。深刻化する空き家問題の解消にもつなげる考えだ。
空き家関連事業は昨年10月に開始。顧客の相談内容に応じて、グループ内の専門会社が①水漏れなどの点検、維持管理の代行②屋根や内装、外装のリフォーム③解体工事・建て替え④不用品の回収・買い取り―などを行う。売却や賃貸物件として有効活用するための相談にも応じ、見積もりの作成や最適なプランを提示する。
建物の点検、維持管理の代行のニーズが最も高く、訪問点検の頻度や異常を検知した際にスマートフォンなどに通知が届く「セルフセキュリティー」の有無などで、三つのプラン(月額4800円~)を用意。点検結果は毎回LINEで報告し、異常が確認された場合は対応方法を提案する。
利用者はスマホからも接続できる専用サイトで、個人情報と所有する空き家の情報、相談内容をそれぞれ入力。登録が完了すると個別に担当者とやりとりが始まる。
グループ内で建物健診事業などを手がける「家守り」(東京都)の二色洋昭取締役は「グループ全体のインフラを活用したシナジー効果を発揮しつつ、空き家問題という社会課題の解決にもつなげたい」と意気込む。2028年度をめどに空き家の管理件数1千件を目指し、国内約千店舗のネットワークも生かしていく方針だ。
総務省の調査によると、23年10月時点で全国の空き家は約900万戸。県内は16万1千戸で5年前と比べて3千戸増加し、住宅総数の16・7%を占める。
空き家の放置は建物の倒壊や火災、周辺地域の治安、景観の悪化などにつながるため全国的な社会問題となっている。近隣に悪影響を及ぼす「特定空家」に認定されて自治体から勧告を受けると、固定資産税の軽減措置を受けられなくなるなどの不利益が生じる可能性がある。