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2026年1月9日
《新春インタビュー》群馬銀行頭取 深井彰彦氏 地域経済の成長支援・上毛新聞(2025/1/1)より
「金利のある世界」が到来し、新政権は積極財政の方針を掲げるなど経済情勢は大きく展開している。群馬銀行(前橋市元総社町)は今年、新潟県地盤の第四北越銀行を傘下に持つ第四北越フィナンシャルグループ(FG、新潟市)と2027年4月の経営統合に向け、本格的な準備期間に入る。その動向は地域経済にも影響し、関係者が注視している。深井彰彦頭取に経営戦略や見通しを聞いた。
(聞き手・上毛新聞社常務取締役編集主幹 清水直樹)
【経営統合】互いの特徴や強み共有
―25年4月の第四北越FGとの経営統合の基本合意は、県内だけでなく金融業界でも高い関心が示された。3月の最終合意に向け、進捗(しんちょく)状況はどうか。
両行を傘下に置く持ち株会社の名称や本店所在地、役員構成などについて協議を重ねている。特に重要なのは、経営理念や目標を明確に定め、実行するための組織体制の構築だ。両社の経営陣・全職員が互いの特徴や強みを理解し共有した上で、共通のゴールに向かって協働することが成功の秘訣(ひけつ)だと考えている。
当行は、首都圏や海外に広がる広域な店舗網を生かした貸出業務に強みがあり、第四北越FGは非金利収益を生み出すコンサルティング業務に強みを持つ。両社の強みは補完的で営業エリアも重複していないため、新たな市場拡大も期待できる。最終合意の際には、どのようなシナジー(相乗効果)を見込めるのか具体的な計数も含めて発表する。
―経営統合は重い決断だったのでは。
トップバンクを目指したいという思いは常に持ち続けていた。本県を中心に北は新潟県から南は首都圏、さらには海外まで営業エリアを拡大し、顧客基盤をつなぎ合わせることで、収益力や企業価値を一層高めることができる。統合により今まで以上に付加価値の高い商品・サービスの提供が可能となり、地域産業の持続性や生産性の強化につながり、人口減少などの地域課題の解決にも貢献できると考えている。今回の経営統合は、まさに「攻めの成長戦略」である。
統合発表後の両社の時価総額合計は1兆円を超え、市場からも高い評価を得ている。質・量ともにトップバンクとなるために、目指すゴールに向かって具体的な成果を着実に出していくことが重要だ。
―利用者のメリットは。
経営統合による店舗の統廃合はないため、通帳の口座番号変更などもなく、サービスの質が低下する懸念はない。両社の豊富な情報を生かすことで、企業のビジネスマッチングや事業承継支援のための合併・買収(M&A)の増加も想定される。また、両社の知見を合わせることで、共通の新商品開発に取り組むことも可能となり、これまで以上に幅広いニーズや課題にきめ細かく対応することができる。
【経済情勢】中小に厳しい状況続く
―25年の県内経済は米国の関税政策で揺れた。振り返りを。
県内経済は、個人消費が増加傾向で、旺盛な観光需要などにも支えられ、全体的に緩やかに回復した。一方、米トランプ政権の関税措置で県内企業への影響が懸念されたが、SUBARU(スバル)が関税負担をサプライヤーに転嫁せずに自社のバリューチェーン内で吸収する方針を示したことで、収益面での悪影響は限られ、大幅な生産量の落ち込みは見られていない。
消費は二極化の傾向が顕著だ。観光地周辺では、観光客の消費行動が大きな収入源となっているが、円安の進行や物価高で、日用品は低価格商品の購入など節約志向が進んでいる。原材料価格や人件費といったコスト上昇分の商品・サービスへの価格転嫁は、経営規模の大きい企業は柔軟に対応できているものの、中小企業にとっては厳しい経営環境が続いている。
―高市政権が矢継ぎ早に経済政策を打ち出している。
日本経済の成長力を高めるためには、過去30年間、企業収益が十分に投資に回らなかったことを踏まえ、今後は積極投資が行えるよう、構造改革を加速させることが求められる。人手不足への対応として、高度人材の獲得に加え、業務の効率化や省力化に向けた設備投資も並行して進めていかなくてはならない。民間投資を促すための制度や仕組みをしっかりと整備し、確実に実行することが重要だ。24年度から新たに始まった経済産業省の「大規模成長投資補助金」のように、効率的な投資を促す仕組みづくりを期待している。
―26年の経済展望は。
回復基調は続くと考えている。市場では財政悪化への懸念から長期金利が上昇しているとの指摘もあるが、今後の成長期待が要因となっているとの見方もできる。昨年12月の日銀による政策金利引き上げが為替相場にどのような影響を及ぼすか注意が必要だ。
特に中小企業では、原材料費などの高騰の影響を最小限に抑えるためにも、粘り強く価格転嫁を進めていく必要がある。人材確保の観点から賃上げは重要だ。デジタル変革や省力化への積極的な投資により業務や経営を効率化し、限られた人員でも安定的に事業が継続できる体制の構築が必要となる。当行としても、こうした取り組みを積極的に支援していきたい。
【成長戦略】「パーパス営業」を深化
―25年9月中間連結決算では、純利益が2期連続の過去最高益278億円を計上した。好業績の要因は。
主な要因は、政策金利の引き上げに伴う資金利益の増加である。「金利のある世界」では銀行業界の収益は拡大するが、当行は特に金利感応度の高い貸出ポートフォリオの構築に努めてきたことから、相対的に増益効果が大きく出た。貸出残高も堅調に推移し、特に大企業向けや海外現地法人に対するクロスボーダーローンも大きく伸ばすことができた。法人向けコンサルティングなど非金利業務にも力を入れてきたことで、企業のシンジケートローン(協調融資)や持続可能な開発目標(SDGs)関連の手数料収入が増加し、増益の要因となった。
26年3月期の連結業績予想を上方修正し、純利益を当初の490億円から550億円に引き上げた。年間配当予想も50円から10円増配して過去最高の60円とした。自己株式取得を合わせた総還元率は、連結ベースで4期連続の50%超を見込んでいる。
―25年4月から3年間の中期経営計画(中計)が始まっている。
中計最終年(28年3月)の連結純利益目標は600億円。初年度で550億円の達成を見込み、計画は順調に推移している。25年からの中計は、これまで6年間の中計で取り組んできた「Innovation(改革)」を礎に「Growth(成長)」をつかむ3年間と位置付ける。築き上げた「パーパス営業」をさらに深化させることで、社会的価値と経済的価値の好循環の構築を目指す。
具体的には、当行のグループ会社や地元企業と連携し、地域の特性を生かしながら、サステナブル(持続可能)な三つの地域経済圏(エコシステム)の構築に取り組む。地域産業の持続性と生産性を向上させ、地域の生活を豊かにすることで、地域の事業者と住民の双方の利益に結び付けていく。中計に取り組む中で、「お客さま・地域社会」「群馬銀行グループ」「従業員」「市場・株主」の4者の利益の同時実現を目指していく。
―人的資本の充実を図っている。
昨年、本部組織を見直し、人事部をHR(ヒューマンリソース)マネジメント部に改組し、同部長には当行初となる女性執行役員として、外部から専門人材を招聘(しょうへい)し登用した。
24年6月に「ジョブ型人事制度」を導入。従来の年功序列型の資格体系を廃止し、キャリア形成として部店長の「マネージャー職」や「スペシャリスト職」など四つの職群を設けた。同制度では「適材適所」ではなく「適所適材」という新たな考え方に基づき、役職(ポジション)を起点に人材を選定している。
行員一人一人が「どういう仕事に取り組みたいか」意識して働くことで、自ら学び、経験を重ねて成長することを促す。各ポジションに対する公募も増加傾向で、自律的かつ多様なキャリア形成を支援していく。
―スポーツや文化の振興にも力を入れる。
女子バレーボールの群馬グリーンウイングスは、23年に運営主体を当行からグリーンウイングスGUNMAに移管したが、本県のスポーツ振興の観点からもトップレベルのチームを目指してほしい。相手チームの日本代表選手らと互角に渡り合う姿は頼もしく、試合を見ていても面白い。今月10、11の両日、高崎市の高崎アリーナで行われるホーム戦には、新潟県から第四北越FGの多くの社員が応援に駆け付ける予定だ。
文化振興では、半世紀以上にわたり群馬交響楽団の支援を続けている。昨年の創立80周年事業には当行も特別協賛として参画した。今後も支援を継続する中で、日本を代表する地域オーケストラへとさらなる成長を遂げてほしい。
―新年の意気込み、県民に伝えたいことは。
今年は政府による物価対策なども背景に、景気の回復基調が一段と強まる一年になると見ている。足元では、人工知能(AI)をはじめデジタル技術の急速な進展で、社会や産業の構造が大きく変化している。
こうした環境下で、持続的な景気回復を実現し、賃金と物価の好循環を生み出すためには、多くの企業でデジタル変革や省力化への積極的な投資が不可欠となる。当行グループでは、中計でサステナブルな三つのエコシステムの構築に取り組むことを掲げており、地域事業者の皆さまと共に、地域経済の好循環を築くための支援に積極的に取り組んでいく。
