(株)東和銀行

2024年5月10日

09年注入・公的資金350億円完済へ 東和銀 14日、未済150億円を国に ▪上毛新聞(2024/05/10)より

東和銀行(前橋市本町、江原洋頭取)は9日、財務基盤強化のため2009年に注入を受けた公的資金350億円のうち、未済だった150億円を14日に国に返し、全額の返済が完了すると発表した。積み上げてきた利益剰余金を原資に充てる。地域企業の資金繰り支援を中心に収益力を強化し、15年近くかけて完済に結び付けた。制限を受けてきた投資の自由度が増すため、人的資本の充実やデジタル化を積極的に進め、さらなる経営安定化を目指す。
同日開いた取締役会で返済を決め、金融庁と整理回収機構から承認を得た。14日に同機構が保有する150億円分の優先株750万株を約162億8800万円で買い戻す形で返済する。取得した優先株は消却する。自己資本比率は8・73%(単体)に低下するが、健全性の目安とされる8%以上を維持しており、影響は少ないと判断した。
同行は07年3月期の単体決算で過去最大となる281億円の赤字を計上。リーマン・ショックを引き金とする世界的な金融不安の広がりもあり、財務基盤の健全性を高めるため公的資金の資本注入を申請した。国は改正金融機能強化法に基づき、09年12月に350億円を注入した。同行は経営改善を進めて利益剰余金を積み増し、18年に200億円を返済。全体の返済期限が今年12月に迫る中、残る150億円返済についての判断が注目されていた。
江原頭取は9日に県庁で記者会見し、もっと早いタイミングで完済できる体力はあったものの、新型コロナウイルス禍で経営が厳しくなった地元企業の資金繰り支援を優先したと強調。新型コロナの5類移行から1年が過ぎ、社会活動の正常化が見えたことなどから完済を決めたとした。
24年3月期の中小企業貸出金は、公的資金注入時に比べて3016億円増の8309億円、事業性の貸出先は4810件増の1万4973件と大幅に伸びており、収益力が高まったという。江原頭取は「お客さまの資金繰りを支えて本業に注力してもらう方針が収益に結び付き、完済につながった」と述べた。