(株)井ノ上

2024年11月28日

「保全と観光」可能性探る白衣大観音建立88年でシンポ 高崎・上毛新聞(2024/11/28)より

高崎市のランドマークとして長く愛されている高崎白衣大観音(同市石原町)の建立88年の米寿を記念したシンポジウムが27日、同市の群馬音楽センターで開かれた。「都市観光と近代建築文化財~新しい『観光高崎』を考える」と題して講演とディスカッションを実施。市民ら約150人が白衣大観音と関連する建築物の保全や観光の可能性を探った。

「いい建物盛り上げて」
「街と山しっかり動線」

ディスカッションは高崎商科大特任教授の熊倉浩靖さんがコーディネーターを務め、日本観光振興協会総合研究所顧問の丁野朗さんら5人がパネリストとして登壇。観光資源としての市内近代建築物について、かんざわ一級建築士事務所(同市)の神沢愛香さんは「いい建築物がたくさんあるが今は点になっている」と指摘。「通りに名前を付けたり、建築愛を持った人がパンフレット制作したりして市民全体で盛り上がれるといい」と提案した。
熊倉さんは音楽センターや白衣大観音が建設された背景を紹介し「なぜその建物ができたのか。背景にある物語は我々自身が担い手であり語り部。自分事意識がとても重要」と伝えた。
鉄筋コンクリート造の白衣大観音は寿命が100年と言われており、これまでに2回、大修復が施されている。白衣大観音がある慈眼院境内で「一路堂カフェ」を営む橋爪真理子さんは、ひびが入るなどの劣化を感じているといい「修復をしないといけないのは確実だが、改修するのか、新しく作り直すのかは考えないといけない。今の美しさを保ったまま何とか保存していける方法を考えたい」と述べた。
丁野さんは高崎の街と白衣大観音エリアをつなぐためには観光動線をしっかりと考えないといけないとし「なぜ白衣大観音がある山の上に行くのか、必然性をつくらないといけない。人が動く必然性をしっかりつくることが観光動線をつくる上で重要」とまとめた。
持続可能な文化財保全について考えようと、白衣大観音を建立した実業家の井上保三郎をルーツに持つ建設業、井ノ上(井上幸己社長)が主催。丁野さんが文化財を活用した観光についても講演した。