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2025年6月5日

県内企業が採用活動本格化 就業体験や対面増・上毛新聞(2025/6/3)より

来春卒業予定の大学生らの就職活動で、政府が示す1日の面接解禁日を迎え、2日から県内企業の採用活動が本格的に始まった。人手不足から学生優位の「売り手市場」が強まる中、企業はインターンシップ(就業体験)など入社後のミスマッチを防ぐ対応を強化。遠方の学生の負担軽減や選考人数を増やすために面接のオンライン導入が進む一方、対面を重視する企業もある。就職情報会社の調査では面接解禁日以前に約8割が内定を獲得しているとし、人材獲得競争の前倒しが加速している。

面接は1日に解禁された。自動車部品製造のミツバ(桐生市)は採用目標を前年同様の50人とするが、前年の採用実績は6割にとどまった。担当者は「今は『採る』ではなく『来てもらう』立場。面接やインターンシップで相性を確認し合い、ミスマッチのない採用に結び付けたい」と話した。
本県に国内唯一の自動車生産拠点を置くSUBARU(スバル、東京都)はギャップを埋めるため、採用段階から学生とのコミュニケーションを重視する。面接時に勤務地の制約など働き方の希望を必ず確認しているという。
家電量販店最大手のヤマダホールディングス(高崎市)は、インターンシップに注力し「応募者増加や志望度向上につながっている」と手応えを示す。担当者と気軽にコミュニケーションを図れる「カジュアル個人面談」も予定する。スーパー大手のベイシア(前橋市)は「オープン・カンパニー」と称した仕事体験を、希望者全員が参加できるよう複数日設定する。
群馬銀行(同市)は、職責を重視するジョブ型人事制度を前年に導入した。来春採用では、資産運用やシステム開発など3コースを設置。コース別インターンシップを初めて行うなど、専門性の高い人材確保に向けた採用を本格化させた。担当者は「人的資源の充実へ、専門性が高く幅広い人材の獲得につなげたい」と強調する。
佐田建設(同市)は、1次選考に進む前に現場見学の機会を必ず設けている。説明会は対面とオンラインを併用する一方、面接は学生の人柄や熱意を見極めようと対面のみで実施。総合物流業のGKU(高崎市)も選考を受ける学生を増やすため説明会はオンラインを活用するが、「画面越しでは人間性が見えない」として面接は対面で行う。
インディードリクルートパートナーズ(東京都)の調査では、5月15日時点の大学生就職内定率は前年同期比1・8ポイント増の79・9%。政府が要請する日程ルールの形骸化が鮮明になっている。同日時点での進路確定率は56・7%。学生の4割以上が進路を確定していないとしながらも、同社は「選考や内定の早期化が加速している」とみる。