2025年8月1日
《群銀・深井頭取インタビュー (下)》経営統合はビジネスチャンス 強み補完サービス向上 地域経済の活性化促す・上毛新聞(2025/8/1)より

群馬銀行(前橋市元総社町)は、新潟県地盤の第四北越銀行を傘下に持つ第四北越フィナンシャルグループ(FG、新潟市)との2027年4月の経営統合に向けて歩みを進める。群馬銀の深井彰彦頭取(64)は「経営統合はビジネスを大きくするチャンス。補完性があり、ステップアップして、より上のサービスを目指す」と未来を描く。
―統合後はどのような体制になるのか。
持ち株会社の傘下に群馬銀と第四北越銀を置く。それぞれのブランディングがあるので銀行同士の合併は予定していない。
持ち株会社の名称やロゴ、本店所在地は26年3月の最終契約までに決定する。名称はさまざまな案を検討している。地名の分かる案や、理念を表す新たなネーミングもあり得る。統合に関するアンケートを行員に行い、新会社の目指すべき姿といった理念に対する意見を募っている。
企業価値の向上につなげるために、新会社における計画では両行をどう伸ばすかを検討する。当行は28年3月期までに自己資本利益率(ROE)10%以上を目標に掲げていて、新会社でも高い水準を目指す。
―スムーズな統合に向けて意識することは。
経営理念や目標をしっかりと決め、経営陣と職員の全員が共有することが成功の秘訣(ひけつ)だと考えている。新会社として新たなメッセージを出す必要がある。株主やマーケットに向け、客観性を持った経営目標を示すことも重要となる。
―規模拡大に伴ってサービスが低下するのではないかと懸念する声もある。
両行は営業エリアが重ならないため店舗の統合はなく、お客さまに不便や負担をかけることも、サービスが行き届かなくなることもない。当行ではアプリなどの非対面チャンネルの強化や、都市部では土日祝日も営業する「個人相談プラザ」を設置し、サービスの維持向上に努める。
―金融再編の動きをどう見るか。
連結総資産が10兆円規模の銀行同士が経営統合するケースは近年ない。単独ではできないことを経営統合によりできることがある。当行としては、ステークホルダー(利害関係者)に説明できるまで慎重に考えた上で決めた。今回の統合が契機となって再編の動きが出る可能性はある。
―今後の意気込みを。
互いの強みを生かすことで、お客さまに提供するサービスの質を高めることができる。結果として、人口減で将来的な縮小が懸念される地域経済に対しても、活性化を促して魅力度を高めることにつなげたい。
ROEを高め、企業価値の最大化を図る。安定した資金や財務基盤の上に、コンサルティング業務の充実で顧客満足度を向上し、高水準の非金利業務利益の確保につなげたい。新たな取り組みも進め、トップレベルの銀行を目指す。
ふかい・あきひこ 1960年、高崎市生まれ。高崎高―早稲田大卒。84年、群馬銀行に入行。92年に米スタンフォード大で経営学修士(MBA)を取得。総合企画部長、常務、専務などを経て、2019年から現職。