㈱ベイシア

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2025年9月26日

ザスパがベイシアGに 赤字脱却に経営視点・上毛新聞(2025/9/22)

プロサッカークラブのザスパ群馬(前橋市)が転機を迎えている。5月に小売り大手のベイシアグループが増資に応じ、グループ会社となり、長らく懸案だった赤字体質からの再建に踏み出した。4期連続赤字と厳しい経営状況を打開し、新たな成長軌道に乗せられるか。Jリーグ参入20周年を迎えた節目の船出に期待がかかる。

◎資金と人材を増強 ファン拡大手応え
グループの中核であるベイシア(同市亀里町)とカインズ(埼玉県本庄市)は5月30日、ザスパが第三者割当増資で発行した株式を取得した。両社の議決権保有割合はそれぞれ25・2%で、グループ合計は50・4%となり、ザスパはグループ会社となった。

◎「オール群馬で」
ザスパは2025年1月期決算で純損失が9700万円と4期連続の赤字を計上。Jリーグには3期連続の赤字で翌シーズンのクラブライセンスが交付されない規定がある。新型コロナ禍の特例措置で猶予されたものの、赤字がさらに2期続くと対象となる恐れがあった。純資産も前の期の5100万円から340万円まで目減りし、経営再建が急務となっていた。
グループ化を発表した会見で、ベイシア、カインズ両社の土屋裕雅会長は、グループの創業の地である群馬は、数多くの店舗を有するホームタウンだと強調した。「ベイシアグループがハブとなり、オール群馬でザスパを応援し続ける環境ができれば、世界に通じるビッグクラブに進化できると信じている」と支援する意義を語った。
発表から3カ月余り。目に見える劇的な変化こそ現れていないが、改善に向けて着実に歩み始めている。その一つが相木孝仁ベイシア社長、高家正行カインズ社長の取締役就任だ。企業経営の知見がクラブ運営に持ち込まれた。ザスパの赤堀洋会長は「従来よりも鋭い質問が交わされるようになった。(2人の経営トップ加入は)クラブ運営にとってプラスしかない」と変化を明かす。

◎SNS発信に力
カインズは社内に「グループ・スポーツ事業部」を新設。ベイシアグループから人材の供給を受け、クラブ単独では手薄となっていたファン拡大施策の強化を進める。中でも交流サイト(SNS)での情報発信に注力する。ユーチューブやインスタグラムの更新頻度を高め、クラブの露出を増やしている。X(旧ツイッター)のフォロワー数は8月時点で約3万、インスタグラムは約1万7千といずれも昨年から増加し、ザスパは手応えをつかむ。
スポンサー戦略にも好影響が見られる。グループの取引網を生かすことで新たな企業へのアプローチが可能になった。J3降格に伴ってスポンサー収入の減少が危惧されたが、ザスパは「『ベイシアグループと一緒に応援したい』と新たに声を上げてくれる企業もあり、前年並みを維持できそうだ」との見通しを示す。