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2025年12月12日

《宇宙への羅針盤 IHIエアロスペースの25年(1)》挑戦 地球帰還支えた技術 高熱耐える素材「はやぶさ」応用・上毛新聞(2025/12/9)より

夜空に輝くあの星へ、あの大空のかなたへ―。人類は古代から宇宙に大きな夢を抱いてきた。その宇宙への挑戦を続ける本県のロケット総合メーカー、IHIエアロスペース(IA、富岡市藤木)が今年、設立25周年を迎えた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」や国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ無人宇宙補給機の開発、国の基幹ロケットの打ち上げなど携わったプロジェクトは数知れない。その成長の過程には何があったのか。過去の足跡を振り返り、未来を展望する。

2010年6月、小惑星「イトカワ」の砂を採取して約7年ぶりに地球に帰還した「はやぶさ」。03年の打ち上げ以降、約7週間の通信途絶やエンジントラブルなど数々の困難を乗り越え、最後に大気圏で機体が燃え尽きる姿は多くの国民の感動を呼んだ。
小惑星の砂が入ったカプセルは、はやぶさから分離されて地球に戻る際、秒速12キロ(日本列島を約4分で縦断する速度)で大気圏に再突入する。大気との摩擦で周囲の温度は1万度を超え、カプセルの表面も約3千度に達する。この過酷な環境からカプセルを守る「ヒートシールド」を開発したのがIAだ。
同社はロケット開発で培った技術を生かし、固体燃料ロケットのノズル部分に使用する「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」をヒートシールドに応用することで優れた耐熱性を実現。プロジェクトの達成に大きく貢献した。
帰還時を知る社員は「あの高熱に耐えて、地球上の一地点にちゃんと戻ってきたのは『本当にすごいことなんだ』と家族に説明した」と誇らしげに語る。
ヒートシールドは小惑星「リュウグウ」の砂の採取で活躍した探査機「はやぶさ2」にも採用された。そして次の出番は26年度、火星衛星探査計画(MMX)。衛星「フォボス」の表層物質を回収し、地球に戻る任務だ。太陽系の惑星誕生や火星圏の進化などの解明につながることが期待される。
並木文春社長ははやぶさプロジェクトを振り返り、「世界で初めて小惑星から石や砂を地球に持ち帰る夢のような挑戦だった。この成功からIAの技術力と信頼性が多くの人に認めてもらえるようになり、日本の宇宙開発の発展や子どもたちが宇宙に夢を持つきっかけにもなった」と胸を張る。
(次回から経済面)

【メモ】IHIエアロスペース 戦前の中島飛行機の流れをくみ、日産自動車宇宙航空事業部が石川島播磨重工業(現IHI)に営業譲渡される形で2000年7月、「アイ・エイチ・アイ・エアロスペース」として発足。08年に現在の社名となり、24年に富岡事業所(富岡市)へ本社所在地を移転。宇宙、航空、防衛の各分野で事業を展開する。