- 企業情報
- 求人情報
- インターンシップ
- 説明会・試験情報
- 先輩社員の声
- 企業紹介記事
2025年12月19日
《宇宙への羅針盤 IHIエアロスペースの25年(5)》展望 地元・上毛新聞(2025/12/19)より
IHIエアロスペース(IA)の並木文春社長に設立25周年の振り返りと今後の展望を聞いた。
―これまでのIAの成長をどう感じるか。
宇宙、防衛事業の二本柱に加え、航空機エンジン部品事業が育った。宇宙、防衛関連の製品は日本のロケット産業の黎明(れいめい)期から取り組んできた自負がある。重要な材料や素材を自前で用意できる力が付いた。
一例が「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」という複合材だ。これを使うことで宇宙関連製品の性能を向上させつつ、生産能力の増強と低価格化の両立が実現できた。航空機エンジンの部品にも適用することで強みの一つとなった。
特に、航空機エンジン部品事業が成長したことで事業多角化によるリスクヘッジにもなる。製品の生産量も宇宙、防衛事業より多く、技術力や品質・生産管理のノウハウ、経験値が格段に上がった。もともと強みだった材料技術の維持向上にもつながり、そこで得た知見を宇宙、防衛事業に還元することもできる。
―本社所在地を移転して1年がたった。
前身の日産自動車宇宙航空事業部が東京・荻窪から移転先を探す際、苦労が多かったと聞いている。その中で、私たちの事業に深い理解を示し、前向きに誘致に取り組んでくれたのが群馬県と富岡市だった。当時の感謝の気持ちは今も全く変わらない。これまで以上に地元と密接に連携し、共存共栄を図りたい。
―宇宙、防衛、航空の各事業の今後の展望を。
宇宙事業は、国が宇宙産業を8兆円規模まで伸ばす方針で商業衛星の打ち上げ需要も旺盛だ。火星衛星探査計画(MMX)など宇宙を活動の場として利用する勢いがある。防衛事業は「安保三文書」が見直され、根本的に防衛力の整備を進める方針が打ち出されている。IAが提供する製品も堅調な需要がしばらく期待できそうだ。
航空事業は生産量が毎年数%増えている。そこに新技術を組み合わせ、より強固な立ち位置を確立したい。3事業とも伸び続ける見込みで近い将来、売上高が2025年3月期の2倍まで増える可能性がある。
―宇宙に関わる仕事の魅力は。
ロケットは飛行機よりもはるかに速く飛ぶ。私はそれが面白かった。ものすごい音と、目がくらむような光を出して打ち上がる瞬間は多くの人を魅了する。それを自分で作れるのがロケットメーカーで働く醍醐味(だいごみ)の一つだ。ロケットの打ち上げは設計から製造まで多くの職種の人たちの力で成り立っている。誰にでも活躍の場があるチームプレーだ。次世代の宇宙産業を担う子どもたちには、そのことも知ってほしい。
(この連載は中村穂高が担当しました)
