㈱IHIエアロスペース

勤務地
西毛
業種
機械・金属

2026年4月10日

《インタビュー》「伸び盛り」さらに加速 技術者から経営トップに IHIエアロスペース 矢木一博社長・上毛新聞(2026/4/8)より

IHI(東京都)傘下のIHIエアロスペース(IA、富岡市藤木)の新社長に矢木一博氏(54)が就任した。ロケット開発に長年携わってきた技術畑出身で、4月から経営トップとして同社をけん引する。宇宙に加え、同社が手がける航空、防衛分野も市場の成長が見込まれる中、将来像をどう描くのか、戦略を聞いた。
―社長就任の抱負を。
宇宙分野は国の後押しもあって伸び、防衛分野は経済安全保障の観点から重要性が増している。航空分野も長期的にニーズが高まる。会社が成長局面にあり、変化していく時期に重責を担うことになり、身が引き締まる思いを持つと同時にわくわくしている。
IAの強みの一つは宇宙、防衛、航空の三つの事業の柱が補完し合っているところ。3分野をバランス良く成長させていきたい。
―本社敷地内に新工場を整備している。
2028年度の完成を目指し、ロケット部品の生産能力を大幅に高める。事業の成長に伴い、従業員数は昨年度約200人増えた。地元から積極的に人材を採用していきたいし、伸び盛りにあるIAという会社が群馬にあることを多くの人に知っていただきたい。
―国産ロケット開発は難航している。
IAが開発の中心を担うイプシロン、パートナーとして参画するH3、出資するスペースワンのカイロスはそれぞれ開発が難航している。私も経験があるが、宇宙開発は失敗が付きもの。ここを乗り越えれば技術者たちが大きく成長し、未来を担う世代になってくれると確信している。
―宇宙事業の将来像をどう描くか。
日本での確固とした宇宙開発、利用のメーカーを目指している。宇宙へアクセスするために必須のロケット分野で足元を固め、政府が30年代前半の目標とする年間30基のロケット打ち上げに貢献したい。その先の宇宙利用の活性化にも力を入れていく。
―防衛事業については。
日本の安全保障環境が急激に変化し、防衛分野の役割はますます重要になってきていると認識している。高市政権の成長戦略でも防衛の強化が示されており、産業として下支えし、政府と一体になって取り組みたい。
―自身も技術畑出身だ。
小学生の頃に博覧会で見たNASA(米航空宇宙局)のロケットに驚いたのが宇宙に興味を持ったきっかけ。学生時代は航空宇宙を専攻したが、国内産業はまだ小さく、就職時は自動車業界を志望した。しかし入社した日産で配属されたのは宇宙航空事業部。再び宇宙に関わることになり抱いたのは、日本の産業を大きくしたいという思いだった。
ちょうど今、その初心を実現できる環境になりつつある。IAをもっと成長させていけば若い人たちに魅力ある産業だと思ってもらえる。航空宇宙産業をなりわいにしたい、仕事をしたいと思ってくれる人が増えてくれるとうれしい。
(真下達也)

【略歴】
やぎ・かずひろ 1971年生まれ。東京都出身。東京大大学院修了後、日産自動車入社。同社の宇宙航空事業部譲渡に伴い2000年に石川島播磨重工業(現IHI)へ転籍。25年にIA取締役。1日から現職。