2025年8月8日
IHI、明星電気を譲渡 来年2月予定 能美防災へ 雇用維持・上毛新聞(2025/8/7)より

IHI(東京都江東区、井手博社長)は6日、完全子会社で観測装置メーカーの明星電気(伊勢崎市長沼町、夏明正伸社長)の全株式を能美防災(東京都千代田区、長谷川雅弘社長)に譲渡すると発表した。同日開催のIHIの経営会議で決議し、能美防災と株式譲渡契約を締結した。株式の譲渡価格は非開示。譲渡日は2026年2月2日を予定する。
IHIは、社会基盤事業や宇宙関連事業などのシナジー(相乗効果)を出すために、明星電気を12年に連結子会社化、21年に完全子会社化した。23年4月開始の3年間の中期経営計画で、事業成長分野に重点的に投資し収益性を高める方針を示していて、今回の株式譲渡はその一環という。自然災害が多発し防災ニーズが高まる中、能美防災への株式譲渡を決断した。
明星電気は、気象防災や宇宙防衛に関する機器の製造、販売などを展開する。1938年に設立し、従業員322人。2025年3月期の売上高は79億9千万円。24年1月に日本初の月面着陸に成功した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「SLIM(スリム)」では、着陸場所を確認するためのカメラなどが搭載された。同社は「防災でより大きなシナジーを生み出せると考えている」とし、事業内容や雇用状況は変わらないとした。
IHIは「(明星電気と能美防災の)両社の相互シナジーや継続的な成長投資を通じて競争力を強化することが、明星電気の持続的な成長につながる」とした。一方、防火防災設備を手がける能美防災は今後、宇宙関連事業にも力を入れる方針で「かつてないスケールの防災ソリューションを構築する礎を得た」とコメントした。