2025年11月7日
冬木工業が新工場 大型鉄骨部材を加工 来春に高崎・上毛新聞(2025/11/6)より
総合建設、鉄骨製造業の冬木工業(高崎市栄町)は、同市宿大類町に大型の建設鉄骨部材を加工する新工場の建設を進めている。2026年3月完成予定で、5月以降の稼働を目指す。併せて、県内の既存2工場を含めた生産体制も再編。29年7月期の売上高は、24年7月期と比べ2割超増の約250億円を目指す計画だ。
新工場「(仮称)高崎工場」は、関越道高崎インターチェンジ(IC)から南に車で約5分と立地が良い。敷地面積約5万9千平方メートル、工場棟は延べ床面積約2万5千平方メートル、3階建ての事務所棟も併設する。
建設の背景には、東京都心部から川崎、横浜の両市にわたる「京浜地区」での大規模再開発の増加のほか、生成人工知能(AI)の普及に伴う半導体製造工場やデータセンターへの設備投資ラッシュなどがある。同社は近年、主要取引先である大手ゼネコンから1本当たり10トン超の鉄骨柱の引き合いが増えていたが、既存の倉賀野工場(高崎市宮原町)、玉村工場(玉村町川井)では対応できず、失注していたという。今後、新工場の稼働を通じて新たな受注の確保を目指す。
最大積載20トンの天井走行クレーンなどの設備を導入し、これまで自社で加工できなかった10トン超の鉄骨柱の加工に対応する。3年後をめどに、鉄骨部材の生産能力を現状の約2倍となる月産3千トンまで引き上げる。
生産体制の再編にも着手する。倉賀野工場で加工している10トン以下の鉄骨柱は全て新工場に移管する。同工場は数年間稼働させるが、その後は他社に貸し出す方針という。玉村工場で加工する鉄骨梁(はり)の一部も移す。
新工場は労働環境の改善も図り、溶接作業員の熱中症対策の一環で床冷暖房システムを導入する。脱炭素化にも対応し、屋根に太陽光パネル約1600枚を設置、工場の電力の約7割を賄う。年間を通して温度があまり変わらない「地中熱」を事務所棟の空調に活用し、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出量の削減に努める。
将来的には、国土交通省が5段階の基準で品質を保証する「鉄骨製作工場認定制度」で、現状の「Hグレード」の一段上となる最上級の「Sグレード」取得も検討している。
大竹良明社長は「今後は大型鉄骨の比重を高めていく。鉄骨製造部門を保有する総合建設会社として、地域経済をけん引していきたい」と力を込める。
