NEXUS(株)

2024年7月26日

《パリへダッシュ 県勢に聞く》最強のフェンサー目指す 日本の“強さ”証明 ▪上毛新聞(2024/7/26)より

―3度目となる五輪出場。パリへの意気込みは
これまでずっと「日本人初」というタイトルにこだわり続けて、いくつもそのタイトルを取ってきた。まだ残っているところでいえば、オリンピック個人戦の金メダル。今回3度目の正直で、団体戦の連覇とともに狙っていきたい。最終目標は「史上最強のフェンサー」になること。
―「史上最強のフェンサー」とは。
エペには「絶対王者」がいないとされている。それがエペの競技特性と言われたらそれまでだが、誰もエペの神髄にたどり着けていないだけなんじゃないか。まだ一度もできたことはないが、自分で自分に100点を出せる試合ができたとき、「競技を極めた」と言えると思っている。
―団体連覇へ懸ける思いは。
エペという競技が特にそうかもしれないが、「初優勝」はまぐれに見られがち。本物の強さは歴史を積み重ねることでしか示せない。世界に対して、「日本が強い」ということを証明したい。
―前回と今回でチームに変化は。
東京大会が終わってから、宇山賢さんが抜けた穴をどう埋めるかを話し合ってきたが、どうしても埋まらなかった。穴を埋めるのではなく、新しいチームの形をつくるために、各個人が変化に挑戦している。ディフェンディングチャンピオンでありながら、チャレンジャー。
―見延選手の「新しい変化」は。
昔はフットワークとパワーで相手の反応の先を行くことを重視してきたが、今は真逆。タイミングと距離を測りながら、駆け引きの中で相手を崩す、経験を生かしたスタイルに変えてきている。
―今年で37歳。年齢との向き合い方は。
僕自身、まだまだ競技を続けていくつもりで、選手としてのピークはまだ来ていないと感じる。気持ちの面では、まだまだ自分は中堅レベル。
―金メダルを取ってから、競技人生に変化は。
折れた剣の再生に取り組めたのはその一つ。どうにかできないかというもどかしさはずっとあったが、金メダルを取ったことで自分の思いを認めて貰え、スタートすることができた。現在は選手の魂が詰まったメダルとして、大会の景品などにしている。ゆくゆくは剣自体の再生を目指している。
―本県ファンにひと言。
自分にとって群馬は「第二のふるさと」。温かい応援がいつも力になっている。競技を通して良いニュースを群馬県に届けられるよう頑張っていくので応援よろしくお願いします。

みのべ・かずやす 1987年7月生まれ。福井・武生商高―法大卒。ネクサス所属。2018~19年シーズンに日本フェンシング界史上初の世界年間王者となる。五輪は16年リオデジャネイロ大会に初出場し、個人6位。22年世界選手権の個人で準優勝し、同種目で日本勢初のメダルを獲得した。